平日の15:00、新宿のつけ麺 古武士へ。夏に価格や麺の種類、麺の量が変わってから、初めての油そば。無料の大盛りにして待つ。注文してから9分16秒で運ばれてくる。
新宿の喧騒をかき分けるようにして辿り着く一軒のつけ麺屋。その暖簾の向こうに広がるのは、今年、新たに生まれ変わったという「油そば」である。
個人的評価点数
店内は賑わいを見せつつも、どこか落ち着きを感じさせる空間。席に腰を下ろすと、目の前に運ばれてきた一杯が、私の期待を裏切ることなく、むしろその先を示してきた。
器の中には、まず目を奪われるほど堂々としたチャーシューの塊が鎮座している。それぞれが大ぶりで、ゴロゴロとした存在感を放つ。
脂身と赤身の絶妙なバランスが視覚的に食欲を掻き立て、噛み締めたときの旨味の予感を先に伝えてくれるかのようだ。そして、その周りを囲むのは、ツヤツヤと輝く麺。
今年から改良されたというこの麺は、以前よりも滑らかさと弾力を増し、口に運ぶ前からその進化を感じさせる。量の変更も絶妙で、食べ応えを残しつつも、重たさを感じさせない工夫が施されている。
麺の底に隠れるつけ汁は、まるで宝物のようにひそやかだ。その香りは控えめながら、レンゲで掬うと、たちまち芳醇な風味が立ち上る。
魚介と豚骨が織りなすこのつけ汁は、ただ濃厚なだけではない。独特の風味とコクがありながらも、全体の調和を崩さない。この味わいの奥行きは、まるで短い物語を一杯の中に閉じ込めたかのようだ。
卓上に置かれたお酢とラー油を手に取り、慎重に麺に回しかける。赤いラー油が白い麺に染み込み、透明なお酢がつけ汁を軽やかに引き立てる。
この二つを絡ませるように混ぜた瞬間、皿の中で静かな革命が起こる。見た目の濃厚さに反し、味わいは驚くほど軽やかで爽やかだ。
お酢の酸味が食欲を促進し、ラー油のわずかな辛みが舌に心地よい刺激を与える。新しくなった麺の甘味と相まって、あっさりとした中に深い満足感が広がる。
チャーシューを一つ口に運ぶ。噛むたびに肉汁が溢れ、つけ汁の風味が染み込んだその旨味が、食べる喜びを再確認させる。メンマの歯ごたえはリズムを生み、ネギの清涼感が全体のバランスを整えている。
そして何より、この一杯の価格が手頃であるという事実が嬉しい。新たな進化を遂げながらも、コストパフォーマンスが向上したという点は、まさに食べ手への真摯な姿勢を感じさせる。
この「油そば」は単なる料理を超えた、体験である。今年の夏の新しい形をまとい、さらに多くの人々を魅了するであろう一杯。
その魅力を語るには、言葉がいくらあっても足りない。この一皿の物語を、自らの舌で感じ取ることこそが、その真価を知る唯一の方法である。新宿の街で、この一杯に出会える幸運を、今すぐ手に入れるべきである。
お店の詳細
- 定：無休
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