オクラは、柔らかくもその独特の粘りを保ち、スパイスの海の中で輝きを放つ。オセワダイニング　オクラとチキンのカレー　Aセット＋チーズ1,100円

スパイスの香りが立ち上るこの「オクラとチキンのカレーとチーズナンのセット」は、一見して魅力的な一皿である。

カレーの器から漂う香りは複雑で奥深く、遠い異国の市場を思わせる。スパイスの絡み合う芳香が食欲を刺激し、期待感を高める。

その中には、たった1本のオクラの鮮やかな緑と、ゴロリと存在感を放つ3つのチキンの塊が隠れている。オクラは、柔らかくもその独特の粘りを保ち、スパイスの海の中で輝きを放つ。

3つ入っているチキンは、噛むたびにジュワリと肉汁が溢れ、カレーの辛みとコクが絶妙に調和している。一口ごとに訪れるその旨味の波に、思わずもう一口と手が伸びる。

個人的評価点数

しかし、ここにあるのは完璧な一皿ではない。チーズナンに関しては、残念ながら少々期待を裏切る仕上がりであった。

ナンの中にチーズが控えめに入っており、その豊かなコクを楽しむことを期待していた分、物足りなさが残る。

焼き上がり自体は香ばしく、外はカリッと、中はふんわりとした食感ではあるが、主役であるチーズの存在感が希薄である。

以前にも書いたが、ヒムツリカレーのときはこういったことは無かった。やはりオセワダイニングに変わってお店の質が低下していると感じた。

さらに、この一皿が提供されるまでに要した時間も、少しばかり長かった。通常の倍以上となる待ち時間は、忙しい時間帯には致命的かもしれない。

いつもなら5、6分で来るところが11分以上も掛かった。やはりオセワダイニングは何かがおかしくなっている。

しかし、それすらも許せてしまうのは、このカレーの奥深い味わいゆえである。待たされることで生まれる焦燥感さえも、スパイスとともに溶け込むような気さえする。

このセットは、確かに完璧ではない。だが、その不完全さこそが、人を惹きつける要素なのかもしれない。

オクラの滑らかさ、チキンのジューシーさ、スパイスの香りに包まれた一皿は、スパイスカレーという料理の可能性を感じさせてくれる。

どこか憎めないこの一皿は、日常の中に一瞬の異国情緒を運んでくれる、そんな存在である。

お店の詳細

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